投資には様々な種類があります。
株式・FX・債券・投資信託・不動産・・・
そして最近注目を集めている仮想通貨。
仮想通貨というと印象深いのは、2017年末に価格が暴騰して1億円以上の利益を得た“億り人(おくりびと)”が多く誕生したことではないでしょうか。
1年間でビットコインの価格は20倍となり、500万円が1億円となりました。
仮想通貨の1種類であるモナコインは900倍程にまで値上がり、1年間で10万円ちょっとが1億円に変化したことになります。
こう数字だけをみるとひたすら羨ましくなるばかりですが、多くの利益が出ることは良いことばかりではありません。

億り人は一体いくらの税金を納めているのでしょうか?
また、仮想通貨以外の投資の場合、かかる税金は違ってくるのでしょうか?
投資で資産を増やしたいと思っていても、納めるべき税金が予想外に高額では、なんだか損をしている気持ちになるかもしれません。
この記事では仮想通貨を中心に、様々な投資の概要とそれぞれにかかる税金について解説していきたいと思います。
投資にかかる税金と課税方式
所得と税金の関係は切っても切り離せない関係にあります。
投資による所得も例外ではありません。
投資で発生した所得には”所得税”と”住民税”がかかり、いくら税金を納めるべきかは”課税方式”というルールに従って決まります。
課税方式は、大きく分けると”総合課税”・”分離課税”の2種類があります。
総合課税・・・「各所得を足した合計金額によって税額を決める」
分離課税・・・「他の所得とは合算せずそれぞれに一定の税額が決まっている」
総合課税➡税率15%~55%(所得税5%~45%+住民税10%)
分離課税➡税率20%(所得税15%+住民税5%)
課税方式は所得の種類により、分類があらかじめ決まっています。
「利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得・雑所得」
どんな所得であれ、この10種類の所得のどれかにあてはまるようになっています。
金融商品の投資による所得はおおよその場合、利子所得・配当所得・譲渡所得・雑所得に属します。
この所得の分類の違い、課税方式の違いにより、税金が大幅に変わってくるのです。
仮想通貨取引ではいくらの税金を納めればいいのでしょうか?
仮想通貨とは

そもそも、仮想通貨とはどのようなものであり、なぜ注目されているのでしょうか。
価格の高騰や億り人の誕生などがニュースで取り上げられ、投資の色味を強く感じがちですが投資商品として生まれたわけではありません。
仮想通貨とはブロックチェーン技術を用いた、インターネット上の通貨のことです。

現在は実際に使える場所もまだ少なく、実用性は高くありません。
しかし、今後の世界経済を大きく変える存在でもあるため、投資家は仮想通貨がもつその可能性に注目しているのです。
注目度が上がり需要が高まれば価格は高騰します。
一方で、環境の整備が追い付いていないことや、取引所のセキュリティーや信頼性の問題から価格が暴落する要因も抱えています。
そのため、投機的な投資としての側面も持ち合わせているのです。
2017年~2018年にかけてビットコインを含む多くの仮想通貨が大幅な値上がり後に急激に値下がりしました。
この仮想通貨バブルにより数千万~数億円を手にした人もいれば、投資金額の多くを失った人もいるでしょう。
仮想通貨取引により大きく儲けた人、損失が出た人の税金はどのようにかかってくるのでしょうか?
仮想通貨にかかる税金
仮想通貨は数年で急激に取引する人が増え、法整備など取り巻く環境も整っているとは言えません。
2014年には取引所であるマウントゴックスで多くのビットコインや現金が消失するという事件が発生しました。
この事件で、多くの人が損害を受けたこともきっかけとなり2016年に「仮想通貨法」が成立し、2017年4月に施行されました。
仮想通貨法の制定により、取引の損益にかかる税金についても正式に定義されました。
仮想通貨法により、ビットコイン等仮想通貨にかかる消費税が非課税となりました。
以前は仮想通貨を購入した場合は課税仕入れに該当していましたが、2017年7月1日以降は仮想通貨を購入した場合や売買した場合でも非課税となりました。
仮想通貨取引により得られた利益は原則として雑所得に分類されます。
雑所得は総合課税として計算されます。
つまり、所得の合計額により税額が変わるということです。
総合課税の場合、一番低い所得税率が5%で、一番高い税率は45%となります。
ということは、総合課税に該当する所得(仮想通貨取引による所得、給与所得など)の合計金額が4000万円以上の場合、一番高い45%の適用となります。
仮想通貨による取引で1億円の利益を得た億り人は、住民税の10%を含めると55%という、所得の半分以上にもなる税金を納めているのです。
1億円の所得に対して、5500万円は税金として納めなければならないということです。
このことからわかるように、仮想通貨取引に対する課税方式は他の投資と比べても特に厳しいと言われています。
雑所得であるため、損失が出た際は他の所得との損益通算(利益と損失を相殺すること)はできません。
仮想通貨取引による利益との損益通算はできますが、もし赤字となってしまった場合、翌年以降に赤字を繰り越すことはできません。

株式取引にかかる税金
株の取引により得られる所得は2種類あります。
株を売却した時の売却益は”譲渡所得”となり、配当金は”配当所得”となります。
どちらも税率は20%(所得税15%+住民税5%)の分離課税となります。
分離課税であるため、給与などのほかの所得とは合算されず、株式ででた利益のみに一律で20%の税金がかかります。
損失が出た場合は、他の所得との損益通算はできませんが、配当益や、国債などの公社債とも損益通算が可能であり、3年間の赤字繰り越しも可能です。
また、NISAを利用することで、上限金額までの株式投資であれば税金はかかりません。
株と同じく、投資信託や債券などの所得も譲渡所得と配当所得に当てはまり、税率は20%です。
また、債券などで発生した利子所得は原則、源泉分離課税となっており、税率は20%となります。
FXや先物取引にかかる税金
FXや先物取引による所得は”雑所得”となります。
雑所得というと、仮想通貨の利益と同じです。
雑所得は総合課税であるため税金が高くなると思いきや、FXや先物取引の所得は例外として”申告分離課税”が適用されるのです。
分離課税であるため、税額は株と同じ20%です。
損失が出た場合、他の所得と損益通算はできませんが、3年間の赤字繰り越しが可能です。
不動産投資にかかる税金
不動産投資によって得られる利益は家賃収入が”不動産所得”、物件の売却益が”譲渡所得”となります。
不動産所得は総合課税、譲渡所得は株式と同じく分離課税となり20%が課されます。
しかし、不動産譲渡の場合は保有年数により課税率が変わってきます。
売却年の1月1日の時点で保有年数が5年を超えていれば20%ですが、5年以下の場合、39%となります。

不動産は現物の投資であるため、短期売買するのではなく中長期的な投資ととらえると税金面では優遇されます。
そして現物資産であるがゆえに経費による大幅な節税が可能です。
経費の中で大きな割合を占める減価償却費は実際の支出ではないため、経費といっても、実際にお金を支払うことなく、節税ができるのです。
投資の中では一番大きな節税効果が見込めるでしょう。
まとめ
様々な金融商品、不動産投資、仮想通貨の税金を比較してみても、仮想通貨取引の税金は大きくなる可能性があるといえます。
利益が大きくなるにつれて、税金も高くなりますが、損失が出ても赤字を翌年以降に繰り越すことができません。
そう考えるとやはり、あらゆる投資の中でも厳しい税金体系といえるでしょう。
仮想通貨取引と比べると、株やFXは税額が20%を超える恐れはありませんが、利益が発生し所得が増えると税額も増加します。
ほとんどの投資では経費がかからないため、税金を少なくするというイメージはあまりありませんが、不動産投資は唯一、節税ができる投資です。
節税をして税金還付を受けることもでき、税金の還付として毎年数万円~数十万円を受け取りながら、投資をして資産をつくることも可能です。
投資にかかる税金についてのご相談も承っております。
ご覧いただきありがとうございました。